閉区間上で$C^r$な関数の拡張について
$I=[a, b]$ を閉区間とし, $f : I \rightarrow \mathbb{R}$ を関数とする. $f$ が $I$ 上で $C^1$ 級であることを以下のように定める.
- $f$ は開区間 $(a, b)$ 上で通常の意味で $C^1$ 級.
- $x = a$ での右微分係数 $\displaystyle \alpha := \lim_{x \rightarrow a + 0} \frac{f(x)-f(a)}{x-a} \in \mathbb R$ が存在する.
- $x = b$ での左微分係数 $\beta \in \mathbb R$ が存在する.
- 開区間 $(a, b)$ 上での $f$ の導関数 $f'$ について
$\displaystyle \lim_{x \rightarrow a + 0} f'(x)=\alpha$, $\displaystyle \lim_{x \rightarrow b - 0} f'(x)=\beta$ が成り立つ.
よって $(a, b)$ 上の導関数 $f'$ を閉区間 $I$ 上の連続関数に拡張することができる. それを同じ記号 $f'$ で表す.
$1 \leqq r < \infty$ とする. 閉区間 $I$ 上の関数 $f$ が $C^r$ 級であるとする. このとき $f$ が $C^{r+1}$ 級であるとは, $I$ 上の連続関数 $f^{(r)}$ が上の意味で $C^1$ 級であることとして, 帰納的に定義する. つまり $C^2$ 級であるとは, 閉区間 $I$ 上での導関数(連続関数であるということしか分かっていない)$f'$ が $C^1$ 級であることを言う.
【命題】
閉区間 $I=[a, b]$ 上で定義された関数 $f$ は上の意味で $C^r$ 級($1 \leqq r < \infty$)であるとする. このとき $I$ を含むある開区間 $J$ と, $J$ の上で定義された (通常の意味での) $C^r$ 級関数 $g$ が存在して, $g|_{I} = f$ となる.
【証明】
$J:=(a-1, b+1)$ とおき, $g : J \rightarrow \mathbb R$ を,
- $a-1 < x < a$ のとき $\displaystyle g(x) = f(a)+\sum_{k=1}^{r} \frac{f^{(k)}(a)}{k!}(x-a)^k$
- $a \leqq x \leqq b$ のとき $g(x)=f(x)$
- $b < x < b+1$ のとき $\displaystyle g(x) = f(b)+\sum_{k=1}^{r} \frac{f^{(k)}(b)}{k!}(x-a)^k$
と定める. ただし $f$ や $g$ の微分係数はそれぞれ右, 左微分係数であるとする. この定め方から明らかなように, $g$ は $f$ の拡張になっている($x=a, b$ で $C^r$ につながっていることを確かめればよい).(証明終)
証明から明らかなように, $J=\mathbb R$ としてとることができる.