mathdiaryのブログ

数学についての覚え書きを雑多にしていきます.

点P

線形代数(自分用まとめ)

線形代数の雰囲気

線形代数はもともと連立1次方程式を解くなかで生まれてきたものである。とはいえ連立1次方程式を解くという意味ではクラメルの公式やガウスの消去法で決着がついており、そこから先は線形性そのものが興味の対象になっている。この記事では線形写像を考えるモチベーションのようなものを初学者に教えるとしたらどうするかのメモ。

 

関数 $f(x)$ があったとき、引数部分に何かしらの操作を加えたら $f$ の値にどのような影響が出るか考えることはよくある。例えば「今より100万円収入が増えたら幸福度はどうなるか」などは日常レベルでも考えうる。収入に幸福度を対応させる関数があるとすれば、これは収入部分に操作を加えることで幸福度がどう変わるかを考えていると言える。細かいことは考えず引数への操作をとりあえず $g$ と書けば、上の議論は

$ f(g(x))=G(f(x))$

を満たす関数 $G$ を特定する、あるいは特定まではいかずとも何らかの性質を調べるということに相当する。

$g$ として最も簡単な操作は、幸福度の例でも挙げたように足し算であろう。すなわち $f(x+y)$ がどうなるかを見たい。実際、$f(x)=\sin x$ の場合では、角度部分の足し算を考えることは実用性があった。というのも

$\sin75^\circ=\sin30^\circ \cos45^\circ + \cos30^\circ\sin45^\circ$

と分解することで、直接求めるのがやや困難な角度での三角比を求められた。ガンマ関数の例も見てみよう。ベータ関数とガンマ関数の関係でよく知られた式として

$\displaystyle B(x, y)=\frac{\Gamma(x)\Gamma(y)}{\Gamma(x+y)}$

がある。これを変形するとと

$\displaystyle \Gamma(x+y)=\frac{\Gamma(x)\Gamma(y)}{B(x, y)} $

となる。

また $f(x)=x^2$ では $f(x+y)=x^2+2xy+y^2=f(x)+f(y)+2xy$ と書ける。

ほんの一部の例だが、引数の足し算は様々な形で関数の値に影響を及ぼす。では最も簡単なのはどのような場合だろうかと考えたときに思いつくひとつに $f(x+y)=f(x)+f(y)$ 、すなわち線形性(の一部)がある。もちろん $f(x+y)=\rm{const.}$ のほうが簡単だが、単純すぎて調べるところがない。

 

さらに実際の線形写像には足し算に加えて $f(ax)=af(x)$ という、定数倍についての条件も加わる。まとめると、

定義(雰囲気だけ) 写像 $f$ が線形写像であるとは,
  1. すべての $x, y$ について $f(x+y)=f(x)+f(y)$,
  2. すべての定数 $a$, すべての $x$ について $f(ax)=af(x)$,
が成り立つことをいう.

実数 $\mathbb{R}$ 上の線形写像(=線形関数)は、ある定数 $r$ によって $f(x)=rx$ と表せる。なぜなら $r:=f(1)$ とすれば定義の2より $f(x)=f(x\cdot 1)=xf(1)=rx$ となるからである。このグラフの形が直線であることが、線形性の名前の由来でもある。

ところで、線形写像の定義はなぜ足し算と定数倍の2つがセットなのか。1だけでも十分そうではある。ところが実際は、$\mathbb{R}$ 上の関数で定義の1を満たすものであっても $f(x)=ax$ となるとは限らない。証明は こちらの記事に詳しい(やや面倒なので事実だけ認めて気にしなくてもよい)。

次に定義の2はどうか。実数上の関数の場合は、2を認めれば自動的に1も認めることになってしまう。にもかかわらず1, 2があるのはなぜかというと、今後は実数上だけでなくあらゆる空間での写像を考えることになり、そうなってくると足し算と定数倍の意味が異なってくるためだ。今は実数で考えているから足し算⇒定数倍と翻訳できるが、それができなくなってくる。

今回はここまで

知恵袋で見かけたもの(2)

位相空間の話。 「2つの位相空間X, Yが同相なとき、それぞれから1点を除くことでできる部分空間たちも同相であるか?」

同相という位相的な条件が、1点を除くという集合論的な操作で保たれるかという問題。しかし1点を除くと連結性とか開集合族の状態とか(要するに位相不変量が)色々変わるので成り立たなさそう。実際、以下の反例がある。

(1)連結成分の個数を変える場合: ほぼ等しいことを表す記号「≒」をR2の部分空間と見なし、XとYはどちらもこの位相空間とする。このときXからは「≒」のうちの「=」部分から適当に1点を取り、Yからは「≒」の上のほうにある点を取るようにすると、これらは連結成分の個数が等しくならないので明らかに同相でない。

(2)穴の数を変える: X, Yを共にR2上の閉円盤とする。Xでは中心から1点をとり、Yでは縁から1点をとると、穴の数が変わるので同相にならない。

東工大 2019年 大問2 解答案

!注意!:この解答は個人的なメモであり正当性は保証されません. 自己責任での参照を願います.

 

$1 \leqq x \leqq 2$ より $\displaystyle \frac{1}{x} \leqq 1 \leqq \frac{2}{x}$ なので $\displaystyle \log \frac{1}{x} \leqq 0 \leqq \log\frac{2}{x}$. よって

$\displaystyle {\int~}_{1/x}^{2/x} |\log y| f(xy) ~dy = {\int~}^{1/x}_{1} f(xy)\log y ~dy + {\int~}_{1}^{2/x} f(xy)\log y ~dy$.

$t=xy$ と変数変換すれば $\displaystyle \frac{1}{x} dt=dy$ となり, 上式は

$\displaystyle -\frac{1}{x} {\int~}_1^x f(t)\log t ~ dt +\frac{\log x}{x}{\int~}_1^x f(t) ~ dt-\frac{1}{x} {\int~}_2^x f(t)\log t ~ dt +\frac{\log x}{x}{\int~}_2^x f(t) ~ dt $

と変形される(*式と呼ぶことにする). これは $\displaystyle 3x(\log x-1)+A+\frac{B}{x}$ に等しい. これら両辺に $x$ を掛けると,

$\displaystyle -{\int~}_1^x f(t)\log t ~ dt -{\int~}_2^x f(t)\log t ~ dt + \log x \left( {\int~}_1^x f(t) ~ dt+{\int~}_2^x f(t) ~ dt \right)$
$\displaystyle = 3x^2(\log x-1)+Ax+B$.

微分積分学の基本定理に注意して両辺を $x$ で微分したのち, 両辺に $x$ を掛けると,

$\displaystyle {\int~}_1^x f(t) ~ dt+{\int~}_2^x f(t) ~ dt=6x^2\log x-3x^2+Ax$.

再び微分積分学の基本定理に注意して両辺を微分することにより

$\displaystyle f(x)=6x\log x - 3x + \frac{A}{2}$.

さて2つ上の式に $x=1$ を代入すると

$\displaystyle -{\int~}_1^2 f(t) ~dt=-3+A$,

$x=2$ を代入すると

$\displaystyle {\int~}_1^2 f(t) ~dt=24\log 2-12+2A$.

これらの辺々を足すことで積分は消え, $A=5-8\log2$ と求まる. よって

$\displaystyle {\int~}_1^2 f(t) ~dt=3-A=8\log2-2$

と求まる. *式に $x=1$ を代入すると

$\displaystyle {\int~}_1^2 f(t)\log t ~dt=-3+A+B$,

$x=2$ を代入すると

$\displaystyle -\frac{1}{2}{\int~}_1^2 f(t)\log t ~dt+\frac{\log 2}{2}{\int~}_1^2 f(t) ~dt=6(\log 2-1)+A+\frac{B}{2}$.

$x=2$ を代入した式を $2$ 倍して $x=1$ を代入した式と辺々を足せば ${\int~}_1^2 f(t)\log t ~dt$ が消え, ${\int~}_1^2 f(t) ~dt$ の値は求まっているので, 地道に計算することで

$\displaystyle B=5\log 2-4(\log 2)^2$

と分かる.