mathdiaryのブログ

数学についての覚え書きを雑多にしていきます.

点P

近傍系が細かい方が位相が大きいことのメモ

近傍系の大小と位相の大小の関係について, 多分集合と位相のどこかの本には載っていると思うが, 自分の持ってるものには載っていなかったのでメモしておく.

$X \neq \emptyset$ は集合とする. $\mathfrak{P}(X)$ ($X$ のべき集合を表す)の部分集合 $\mathscr{A}, \mathscr{B}$ について,

$\forall B \in \mathscr{B} , \exists A \in \mathscr{A} : A \subset B$

がなりたつとき, ここだけの用語として「$\mathscr{A}$ は $\mathscr{B}$ の細分である」と呼ぶことにし, 「$\mathscr{A} \prec \mathscr{B}$」という記号で表すことにする.

このとき次が成り立つ.

 

命題

$X \neq \emptyset$ は集合とし, $\mathcal{O}_1, \mathcal{O}_2$ はそれぞれ $X$ 上の位相であるとする. また点 $x \in X$ の, 位相 $\mathcal{O}_1, \mathcal{O}_2$ に関する基本近傍系をとり, それぞれ $\mathfrak{B}_1(x), \mathfrak{B}_2(x)$ とおく. このとき, $\forall x \in X$ について $\mathfrak{B}_2(x) \prec \mathfrak{B}_1(x)$ となる基本近傍系が存在するならば $\mathcal{O}_1 \subset \mathcal{O}_2$ である.

 

$Proof$

$U \in \mathcal{O}_1$ とする. $x \in U$ とする. すると $U$ は点 $x$ の近傍になるので, 基本近傍系の定義により $\exists N_1 \in \mathfrak{B}_1(x)$ であって, $N_1 \subset U$ となるものがある. 命題の仮定により, $\mathfrak{B}_2(x)$ は $\mathfrak{B}_1(x)$ の細分であるから, $\exists N_2 \in \mathfrak{B}_2(x)$ で $N_2 \subset N_1$ となるものがある. $N_2$ の内部を $N_2^i$ と表せば, $x \in N_2^i \subset N_2 \subset N_1$ となるから, $N_2$ は初めから $N_2 \in \mathcal{O}_2$ であるものとして問題ない. するといま,

$\displaystyle \forall x \in U , \exists V_x \in \mathcal{O}_2 : x \in V_x \subset U$

が示されたことになる. よって

$\displaystyle U=\bigcup_{x \in U}^{} V_x$

という等式が成り立つ. よって $U \in \mathcal{O}_2$ . (証明終)

 

この命題は逆も自明に成り立つ. 大雑把に言えば, 位相の大小を調べたいときは基本近傍系の(ある意味での)細かさを調べればいいということである.